広瀬武夫 正気歌

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 「正気(せいき)」とは、天地に存在する、物事の根本をなす気のこと。正しい気風、正義という意味もある。「正気歌(せいきのうた)」は、もともとは宋の文天祥が獄中で作った漢詩である。宋の滅亡後、元に捕らえられた文天祥は、その才能を惜しむフビライ・ハンから何度も勧誘を受けた。しかし、文天祥は宋への忠義を貫くために仕官の誘いを断り刑死した。国と主君への忠義を貫いた文天祥の「正気歌」は幕末の志士らに好まれ、藤田東湖、吉田松陰も自作の「正気歌」を作っている。
 広瀬の「正気歌」は主君や国への忠義を貫いた人々(赤穂浪士、楠正成とその一族、錦江湾で入水した西郷と月照、小塚原刑場で処刑された橋本左内、吉田松陰、太宰府に流された菅原道真)を例に挙げ、自らも一命を賭して国家と天皇に対する忠義を尽くそうとする意気込みが表れている。