福島安正の掛け軸

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 今から10年ほど前、家族で「なんでも鑑定団」という番組を見ていたときのこと。祖父は毎回、「この家にも良い物がある」とか、「俺の掛け軸の方が高そうだ」などと言っていました。もちろん、家族は誰もそんなことは信じていませんでしたが、何度も同じ事を言うので一体何を持っているのか気になって聞いてみたところ、 「福島安正っていう長野県出身の陸軍大将の掛け軸だ」とのこと。
 この頃はまだ福島がどんな人物なのか分からなかったので、どうせ大した物ではないだろうと思っていました。それから数年後、『坂の上の雲』で「福島安正」という名前を見つけたときに、ふと祖父の言葉を思い出しました。そこで、長野の実家に帰省したときに祖父に確認してみたところ、「そう言えばそんな物があったような気がするけど・・・・覚えていないなぁ・・・」と一言。さらにこの数年後には祖父の痴呆が悪化してしまったため、もう掛け軸は見つからないだろうと完全に諦めていました。

 そして、日露戦争開戦から100年目の2004年12月30日。この日は久しぶりに実家に帰省し、1階の客間で祖父が使っていた古い一眼レフカメラを捜索していました。その時、ふと床の間を見ると・・・・




ん・・・?

 

安正?!



とりあえず落款を確認してみると↓

右から「福島安正」と読めます。

(他2文字はわかりません・・・)


掛け軸の拡大写真↓

(注:「嶽」は「岳」の旧字体)


 さて、この掛け軸ですが、本物なのかニセモノなのか全く分かりません。この当時は持ち主である祖父が孫の顔すら分からない状態だったで、どこでどうやって入手したのかを聞き出すこともできず、また2007年に祖父が亡くなったため、この掛け軸に関することは何も分からなくなってしまいました。祖父は大正6年生まれ、福島安正が亡くなったのはその2年後なので、曾祖父が入手したという可能性もあります。本物かどうかは別として、終戦後にシベリア抑留を経験した祖父が、シベリア単騎横断を成し遂げた福島の掛け軸を持っていたということに不思議な縁を感じます。
 祖父の死後、この掛け軸は家族の了承を得て僕が貰いました。現在は我が家の和室に飾ってあります。