伝記「秋山好古」「秋山真之」
完全復刊大特集

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 入手困難な戦前の伝記「秋山好古」「秋山真之」の2冊が、2009年にマツノ書店さんから完全復刊されることになりました! このページでは復刊される伝記やそのパンフレット、出版者であるマツノ書店さんについて紹介していきます。

伝記「秋山好古」「秋山真之」

 今回復刊された伝記は下記の2冊です。

 『秋山好古』 <昭和11年発行、編集・発行:秋山好古大将伝記刊行会(代表者 櫻井眞清)>

 『秋山真之』 <昭和8年発行、著作:櫻井眞清、発行:秋山眞之会(代表者 櫻井眞清)>

 どちらも両人を知る関係者の証言をもとに書かれた伝記であり、彼ら兄弟を知る上での第一級資料とも言えます。また、「坂の上の雲」だけでなく、戦後になってから出版されている秋山兄弟の伝記小説のネタ元でもあります。この2冊に秋山兄弟の全てが濃縮されている、そう言っても過言ではありません。
 なお、当サイトでは数年前からこの「秋山好古」「秋山真之」の復刻、公開を行っています。今回の復刊伝記は一般書店の店頭には並びませんので、中身が気になる方は当サイトを「立ち読み」代りに利用してください。

パンフレット

 2月中旬から両書のパンフレット配布が始まりました。今回は何と、当サイト管理人が「秋山好古」に推薦文を寄稿しています! その他の執筆陣は、「秋山好古」では作家の中村彰彦さん、軍事史学会副会長の原剛さん、「秋山真之」では当サイトに松川敏胤の写真を提供して頂いたこともある日露戦史研究家の長南政義さん、元軍事史学会副会長で作家の土門周平さん。そんな錚々たるメンバーの中に、一人だけ肩書き無しの素人として紛れ込んでいます(^^;)。ちなみに、同封されているマツノ書店さんの活動記録「火車日誌」にはMVさんの「秋山兄弟と水野広徳」も掲載されています。
 このように自分のサイト以外の所に寄稿するのは初めてであり、また正式な依頼を受けて文章を執筆するという事も初めての経験なので、ちゃんと書けるのか少し不安でしたが(本人以上に家族が心配していました)、年末年始に嫁も動員して、締切の前夜までに何とか書き上げました。自分の書いたものが2000人以上の方々に配られると思うと若干気恥ずかしいような気もしましたが、実際に出来上がったパンフレットを手に取ると感慨深いものがありました。
 マツノ書店さんは直販、限定出版のため、両書は直接お問い合わせの上で購入して頂くことになります。興味のある方はマツノ書店さんからパンフレットおよび申込書を取り寄せてください。

復刊本について

 今回の復刊本は原本からの完全復刊。さらに「秋山真之」は海軍逸話集から2話を転載し追加しています。サイズは、両書共にA5版。原本では「秋山好古」よりも一回り小さいB6判の「秋山真之」もA5判に拡大されるため、かなり読みやすくなっています。
 戦前版は「秋山好古」のみ外函がついていたようですが、今回は両書とも装丁家 毛利一枝氏デザインの外函がついています。


(左写真:外函  右写真:外函と伝記の背表紙)


 一方、伝記本体の表紙デザインは、「秋山好古」は原本と色違いで秋山家の家紋も省略されていますが、「秋山真之」は原本のデザインが忠実に再現されています。


(写真左から、好古復刻版、好古戦前版、真之復刻版、真之戦前版)

 ちなみに、我が家では戦前版伝記のうち秋山眞之会出版のものを「青真之」(表紙が青いから)、岩波版を「岩波真之」と呼んで区別していましたが、「青真之」の原本は経年劣化で色褪せ、背表紙は日焼けで完全に色落ちしていました。そのため復刊本を手に取ったときは、まず新品状態を再現した表紙に感激し、裏、表、背表紙を何度も見返したほどです。

 価格は「秋山好古」は15000円、「秋山真之」が12000円です。発行部数は不明ですが、小部数出版とのことです。売り切れの可能性もあるので、興味のある方は早めに申し込むことをお勧めします。
 さて、今回の定価は普通の書籍と比べると若干高く感じるかもしれません。しかし、

・古書市場ではほとんど出回っていない
 最近は「日本の古本屋」でも年に1〜2冊しか見かけない希少本になっています。スペシャルドラマ放映で需要が増えることも考えられ、この機会を逃すと入手はかなり難しくなると思います。

・古書市場で出回っている原本よりも安価である
 以前は原本も10000円前後で購入出来たことが稀にありましたが、需要が増えてきたこともあって最近は15000円〜30000円で取引されています。前述したように、ドラマ放映後は需要がさらに増えるため、古書市場だけでなくネットオークションでも値段が跳ね上がることも予想されます。

 という事を考えると、今回はかなりお買い得であると思います。
 なお、当サイトでの復刻作業、無料公開もそのまま継続しますが、後半部だけで3年かかっているので、完全復刻は早くても5年後くらい、実際はもっとかかりそうです・・・。余程の事がない限り公開中止はしないはずですが、書籍化されたものを入手する数少ない機会でもあるので、秋山兄弟ファンの方には購入をお勧めします。


「マツノ書店」さんの紹介

 ここで、出版元である「マツノ書店」さんについて簡単にご紹介します。
 マツノ書店さんは山口県にある個人経営の古書店で、通常の古書販売の他に毎年4〜5点の古書、資料の復刊を手掛けています。戦前の伝記「児玉源太郎」(宿利重一著)の復刻も手掛けているので、日露戦争関連資料に興味のある方は名前を聞いたことがあるかと思われます。
 販売方法としては、基本的に一般書店への再販は行わず、研究者や歴史愛好家などの顧客への直販のみとなっています。また、需要が限られた資料であるため300部〜500部の限定出版とし、価値ある資料を必要とする方々へ届けるという仕組みを採っています。
 このような活動が評価され、2007年12月には古書店としては初めて「菊池寛賞」を受賞されたとの事です(この年は阿川弘之氏、桂三枝氏も受賞。司馬さんも昭和41年に受賞しています)。
 さらに詳しい情報や問い合わせ先はマツノ書店さんのホームページをご覧ください。