戦艦三笠を作る(1/350)

坂の上の雲 > 「坂の上の雲」コレクション > 1/350 三笠

ハセガワ 1/350 三笠(日本海海戦)+ディテールアップパーツ

 今回制作したのは、ハセガワの1/350「日本海軍戦艦 三笠 ”日本海海戦”」。船体や艦橋の手摺りなど、細部を再現する金属部品「ディテールアップパーツ」も購入しました。

 この三笠、黄海海戦バージョンも販売されています。また、ディテールアップパーツも今回使用したものは手摺り、砲身、空中線など基本的な部品が入っている”ベーシック”ですが、艦載艇パーツやマントレット、タラップなどさらに細かい部品が入っている”スーパー”もあります。

※用語解説
・インジェクションキット : 金型の中に熱で溶かしたプラスチックを流し込んで成型したプラモデルのことです。

・エッチングパーツ : 普通は戦艦の模型には手摺りなどの部品は付属していません。そういった精度の高いパーツは極薄の金属で制作された「エッチングパーツ」として別売されています。金額は船体本体とほぼ同じ値段になることもあります。エッチングパーツはすべてのメーカーが販売しているわけではありません。例えば、フォーサイトの1/700三笠はハセガワとは違って専用のエッチングパーツは販売されていないので、別のメーカーが製造している同じ縮尺の三笠用エッチングパーツを流用する必要があります。

下地塗りと塗装

  まずは船体や煙突、艦橋など大きめの部品にホワイト・サーフェイサーをかけます。

※用語解説
・サーフェイサー : 表面の細かい傷などを埋め、塗料の乗りを良くするために使われます。下地の色は白を塗っておくと発色が良くなるそうなので、ホワイトサーフェーサーを使用しました。


 サーフェイサーが乾いたら塗装を始めます。甲板はまず全体を薄めのタンで塗っておきました。乾いたら木目の線に沿って、木材甲板の雰囲気がでるように色づけをしていきたいと思っていたのですが・・・前部甲板だけが上手く塗れず、何度も色を落として塗り直していたら、木目部分が目詰まり(泣)。塗装は断念しました。

 船体も軍艦色で塗装。艦底はあとから艦底色(ココアブラウン)を塗るので、マスキングテープでその部分を覆ってから軍艦色のスプレーをかけました。スプレーで塗装する場合は、まず30センチほど離した位置から全体に軽く吹き付けます。その後、十分に乾燥させてから数回にわけて重ね塗りをしていきます。プラモに近づけて一気に吹き付けると、塗料が一部分だけに溜まってしまうので注意しましょう。また、スプレーを使用するときは室内の換気を十分に行って下さい。

※用語解説
・マスキングテープ  : 塗り分けをするときに、その色を塗らない部分を覆うための紙テープ。

 船体は軍艦色で塗装したあとに、さらに黒鉄色を吹きつけてみました。金属っぽい重厚感が出てきます。そのあとで艦底を塗って船体を組み立て。


 船体の塗料を乾かしている間に、エッチングパーツの作業を行いました。まずは中性洗剤でパーツを洗い、製造時の油などを落とします。そして乾燥させた後、メタルプライマーをまんべんなく吹き付けて乾かします。そして軍艦色で塗装。

※用語解説
・メタルプライマー  : 金属の表面に塗料を塗りやすくするためのスプレー。



 塗装に失敗した甲板の修復についてですが・・・、部品再発注前に色々と試行錯誤した結果、100円ショップで購入した木目シールを使ってみることにしました。幅1ミリほどに切断し、1枚1枚を実際の甲板と同じように貼っていきます。板と板との隙間が見えにくいので、一枚の板のように見えて多少不自然なのが少し難点ですが、それでも中途半端な塗装よりはだいぶ木甲板らしくなりました。結局、妊婦の世話や育児、家事の合間に少しずつしか作業が進まなかったので、これだけで3ヶ月ほどかかってしまいましたが・・・・。

 さて、最初の難関であった甲板貼りが終わったので、久しぶりに塗装済みの船体の組立作業に戻ります。まずは船尾にスクリューと舵を取り付けます。


 次は中部甲板の構造物など塗装済みパーツの組立て。この作業は順調に進み、この日一日でかなり船らしくなっています。

 中央部の甲板はどうせ煙突や艦載艇で隠れてしまうので、木目シールは貼らずに塗装のみ。その後、7.6センチ速射砲や通風筒(機関室への酸素供給と水蒸気熱の換気をおこなうためのもの)を取り付けました。記念艦ではちょうど↓この場所です。

 さて、上の写真では8本ある通風筒ですが、左4本のようなラッパ状のものと、右4本のような煙突状の2種類があります。フォーサイト1/700シールズモデルの制作にも携わった妻がこれを見て一言。
「あれ・・・?ラッパ状の筒って、もっと多くなかった?」
そう言われて1/700モデルを見てみると、


 確かに、すべての通風筒がラッパ状になっています。そこでハセガワのエッチングパーツに付属している説明書で黄海海戦バージョンと日本海海戦バージョンの全体図を見比べてみると、どうやら日本海海戦バージョンでは後部の4本以外はすべて煙突状の通風筒になっているようです。家にある資料を片っ端から読みあさったのですが、今のところ煙突状の通風筒が写っている写真は見つかっていませんし、他の資料ではすべてラッパ状になっています。実際はどうだったのか、まだ詳しいことは分かりません。

 とりあえず、説明書通りの通風筒だったということで細かいことは気にせずに中央部の構造物を組み立てていきました。ここから先の煙突や艦橋の組立ではエッチングパーツの取り付けも必要になってきます。細かい作業で進行も遅くなりそうなので、とりあえずここで全体写真を。



 船体の組立はここで一時休止とし、次は塗装済みパーツの組立を行いました。煙突周辺と艦橋がだいぶ出来上がってきました。ここから先はエッチングパーツも取り付けなければならないので、組立手順を慎重に検討しながら作業を進めていきます。


 ここからはエッチングパーツを使用した細かい作業になっていきます。まずは前部艦の組立と手摺りの取り付けを行いました。エッチングパーツの組立ては初めてなので、ピンセットを使いながら慎重に手摺りをつけていきました。細かい作業なので、かなり集中力が必要です。速射砲や柱なども付き、だいぶ戦艦の艦橋らしくなってきています。


 そして、船体に取り付け。探照灯や測距儀などの細かいパーツは後で取り付ける予定です。また、手摺りには戦時同様マントレットや幕も取り付けていきます。

 次は後部艦の組立と手摺りの取り付けです。前部艦橋の作業でエッチングパーツの取り付けもだいぶ慣れてきました。1/350モデルにも1/700モデル同様にプラスチック製のマントレットがあって、艦橋の周囲に取り付けられるようになっているのですが、白壁のような感じであまり見栄えが良くありません。やっぱり金属製の手摺りの方がカッコイイですね。






 艦橋取り付け後に中部甲板構造物の修復を行い、その次に前部煙突の柵取り付けを行いました。この頃は右中指の皮膚炎が悪化していたこともあり、作業はなかなか捗りませんでした。このあたりはかなり細かい部分が多く、エッチングパーツの柵が折れてしまったり、配管パーツが取り付けられなかったりと、多少の不備があります。でも、あまり目立たないからいいのかなぁ・・・。

 後部煙突にも柵の取り付けを行い、最後に両煙突の上部に覆いの金属を取り付けました。



そして煙突を本体に装着。だいぶ三笠らしくなってきました。

  



 煙突の次は主砲。金属製の砲身を塗装し、砲塔に取り付けて組み立てました。エッチングパーツの小さな梯子も主砲側面に取り付けています。この砲身と砲塔も、船体や艦橋と同じように黒鉄色のスプレーを若干吹き付けているので、単なる軍艦色だけの塗装よりも重厚感が増しています。



やっぱり主砲があると戦艦らしくなりますね。

  



 さて、主なパーツの作成がほぼ終わったので、ここから先は細部の艤装がメインになっていきます。まずは中部甲板の両舷にあるボートデッキ。柵と側砲、艦橋後部の梯子の取り付けを行いました。曲線部分で柵を曲げる作業がけっこう大変です。船体周囲にも同じ様なパーツを付けなければならないので・・・・今後はかなり集中力の必要な作業になりそうです。



記念艦三笠を上から見下ろしたような、そんな雰囲気になっています。


あっ・・・・、艦橋にマントレット取り付けるのを忘れていたっ!!! 組立前に取り付ける予定だったのに、どうしよう (゚Д゚;≡゚Д゚;)。このままピンセットで付けるしかないのかなぁ・・・・。

 ということで、こちらのサイトを参考にしてマントレットを作成し、まずは後部艦橋の頂部に取り付けてみました。が・・・、うまくできない。それに非常に細かい作業なので、このまま全箇所に無事に取り付けられるのか、微妙な状況になってきました。そして30分ほど悩んだ末、マントレットは断念。
 でも、後部艦橋頂部は取り付けちゃった・・・どうしよう (゚Д゚;≡゚Д゚;)。接着剤で柵とマントレットが完全にくっついてしまったので、仕方なく柵を破壊してマントレットも取り外しました。エッチングパーツに予備はありません。ここでまた悩んだ末、ついに方針転換。
 「エッチングパーツは、プラスチックパーツには付いていない柵などの部品だけ使用する。難しい箇所はエッチングパーツの使用を断念し、プラスチックパーツを使用する」
本格的なプラモ作り、特にエッチングパーツの使用は今回が初めてなので、今後は自分のレベルに合った作成プランで妥協していく必要がありそうです。せっかくここまで作ったのに、ムリをして壊してしまったら大変ですからねぇ。この妥協案によってまずリストラ対照となったのが、マストの見張り台。


 柵を楕円形に曲げる必要があるのですが、試してみてもなかなか上手くできません。よって、これは柵無しのプラスチックパーツを使用することとし、この柵を取り外して壊してしまった後部艦橋頂部の代用品としました。

 ちょっとずれたけど、何とか修復完了です(汗)。

  後部艦橋の修復が終わったところで、前部、後部両方の艦橋に測距儀と羅針盤儀、探照灯を取り付けました。


さらに、前部甲板の艤装も完了。パーツがかなり小さいので、切り取りや取り付けに苦労しました。


  後部甲板の艤装もほぼ完了。スタンウォーク(後部のベランダのような部分)や旗竿は後で取り付ける予定です。


 甲板の艤装がほぼ終わったところで、両舷の艤装に取りかかりました。まずはキャットウォーク(副砲の下にある、船体側面の通路のような部分)を取り付けました。これはエッチングパーツもあったのですが、取り付けが難しそうだったのでプラモのパーツを使用。キャットウォークの下に何本か取り付けられている棒のような部品はブームスという物で、碇泊中に張る防雷ネットの竿です。

 側面の副砲も取り付けました。副砲の部品は、船体に取り付けると見えなくなってしまう後部も細部まで再現されています。


  側面の艤装がほぼ終わったところで、船体後部にスタンウォークと見張り台を取り付けました。スタンウォークは土台部分はプラスチックパーツ、手摺り部分はエッチングパーツを使用しました。



 このあたりからマストも組立て始めました。ボートや空中線の取付中に折ってしまう可能性もあるので、船体への取り付けは後回しにします。


 ここで艦載艇やボートを塗装し、マストと共に船体に取り付けて仮組みをしてみました。

 おぉっ、カッコイイ!! これで完成ということにしても充分かもしれません。


 しかし、わざわざ木目シールを貼った甲板に対して、艦載艇やボートの木材部分は単なるベタ塗り。写真ではあまり違和感は無いかもしれませんが、実物を間近で見ると何となく安っぽく見えてしまいます。そこで、艦載艇やボートには防水布を巻くことにしました。


 まずは防水布の素材選びから。プラモ作りで使っていたマスキングテープはオレンジ色であまり良くないので、様々な素材を使って試行錯誤した結果、サージカルテープ(医療用の紙テープ)を使うことになりました。このテープは肌の色に近い茶色なので、軍艦色や黒鉄色のスプレーを軽く吹きかけて着色し、ボートに巻いていきました。その後、防水布を縛るロープ代わりに糸を巻いて出来上がり。


 防水布を巻き終えたボートや艦載艇は、空中線を張る順番も考えながら船体に取り付けていきます。煙突周辺の空中線は、エッチングパーツに付属していたテグスではなく、黒鉄色で着色したエナメル線を使用しました。テグスは細すぎてピンと張った状態で接着するのがかなり難しいので、煙突周辺での使用は断念。マスト部分はテグスを使おうと思っています。

組立途中の様子。ボートと空中線の取り付け順序を間違えるとうまく取り付けることができないので、試行錯誤しながら慎重に取り付けていきました。


 こうして艦載艇と空中線を交互に取り付けていき、中部甲板はほぼ完成。

 カッコイイ!! 頑張った甲斐がありました。かなり本物の戦艦っぽくなってきています。


 中部甲板の艤装がほぼ終わったので、前部、後部甲板の仕上げに取りかかりました。

 前部甲板はまず錨の鎖を甲板と両舷に取り付けました。かなり小さな鎖なので、取り付けが大変です。鎖の次は船体周囲の手摺り。船体の形に合わせて長い手摺りの部品を折り曲げながら取り付けていくのですが、これがまた難しい。ということで、とちゅうで切り離し、三分割してから取り付けていきました。かなりいい感じの仕上がりになっています。


 後部甲板も同様に手摺りを取り付けていきました。この微妙な曲線に沿って取り付けるのもまた難しいところでした。ブームスやスタンウォークなどに手が当たり、ズレたり取れたりしたものを修復しながらの取り付け作業になりました。


 これで船体は完成。あとはマストの取り付けと空中線を張る作業だけです。
 まずは、マストへの空中線取り付け作業を先に行いました。細い線なので最初は接着やピンと張るのに苦労しましたが、途中からは慣れてきて作業もはかどるようになってきました。

 このマストを船体に取り付け、あとはマストと船体との間に空中線を張っていきます。

 自分の技術力なども考慮し、ここはムリをせずに出来る範囲だけで妥協しました。説明書に書かれている本数よりも若干少な目ですが、それでもかなり見栄えは良くなっています。線を張り巡らせ、旗を取り付けてついに完成!!!




1/350 戦艦三笠 日本海海戦バージョン







現在は専用ケースに入れて展示しています。