乃木神社と乃木邸

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乃木神社

乃木神社

 東京市長が同志を集めて中央乃木会を組織し、乃木邸内に夫妻の御霊を祀ったことが始まり。昭和20年の空襲で本殿などが焼失しましたが、昭和37年に復興したそうです。千代田線乃木坂駅のすぐ近くにあります。神社境内の展示室(写真右側の建物)には、乃木の書幅や自刃の際に使用した刀が展示されています。


乃木邸

乃木邸

  乃木神社の敷地内には乃木希典が住んでいた邸宅が保存されています。この建物は乃木が留学中に見たフランス連隊本部を参考に設計したもので、明治35年に改築されました。

乃木居室外観

 邸内は入り口横の通路から見ることができます。奥のほうには乃木夫妻が殉死した部屋も残されていました。夫妻が亡くなった場所に木札が置かれています。


会見所の手術台

 水師営会見で会見卓として使われていた緊急手術台も展示されています。 ちなみに・・・、

水師営会見所

 2004年の旅順・奉天ツアーで見学した水師営会見所をにも「当時の手術台」がありました。現地案内者の「これは実際に会見で使われた手術台です」という説明に対して、ツアー参加者の一人が「本物は乃木邸にあったはずだけど・・・」と言っていたので、どちらが本物なのか以前から気になっていたのでさっそく調べてみたところ、自衛隊ニュース2007年3月15日号に「手術台2個を並べ、白布を掛けて会見卓とし・・・(中略)・・・修復された会見所には当時の手術台そのものが1台、奇跡的に残っており、・・・(中略)・・・残る1台の手術台は、東京都港区が管理する乃木大将の旧邸宅に衛生学校から寄贈されていた」と書かれていました。どうやら、どちらも本物のようです。

 水師営といえばもう一つ。会見所にあった棗の木の孫が家の前に植えられていました。

棗の木

 現在の水師営会見所にある棗も三代目のようです。手術台、棗の木の子孫、水師営と乃木邸の両方に残っていたんですね。


乃木邸敷地内の厩

 また、敷地内にはレンガ造りの厩も残されています。旅順開城後にステッセルから贈られた愛馬「壽号」の厩舎です。

壽号の厩


 この厩舎と邸宅の間には有名な「乃木将軍と辻占売少年像」があります。

乃木と辻占売り少年

 明治24年の金沢出張の際、一家の生計を支えるために辻占いを売りをしていた8歳の少年の姿に感銘を受けた乃木が、少年を激励し金二円を手渡したというエピソードを像にしたものです。

 最後に、この敷地は16時になると閉門となってしまいます。神社のほうは16時以降も入れますが、宅地は見学ができなくなってしまうので訪れる際には注意が必要です。


乃木邸公開

 乃木邸は乃木夫妻の命日にあたる9月13日に公開されています。意外と見学者が多く、警備員が随所に配備されていました。

乃木邸公開

 古い建物なので、一度に入場できる人数が限られており、見学を終えた人が出てくる度に入れ替わりで3〜5人ずつ入場となります。入り口前の受付の所には10人前後の列ができていました。

 見学用の入り口は正面の玄関ではなく、地階の内玄関からでした。地階は明治期の普通の住宅といった雰囲気で、台所、電話室、書生部屋、女中部屋などがあります。

女中室 電話室

 乃木夫妻殉死の日、自室で異変を感じた女中が一階へ駆け上がって状況を確認し、その後この電話室に駆け込んで巡査を呼んだ、そんな状況だったのかもしれません。

 続いて階段を上り一階へ。上って左手側に乃木夫妻の居室がありました。

静子化粧室 静子居室

 静子夫人の化粧室と居室。衣類、扇子、ミシン、鏡台などの遺品が展示されていました。


乃木殉死の部屋

 その正面にあるのが乃木の居室。乃木夫妻が自刃した部屋です。ここには乃木の軍服が展示されている他、亡くなった直後の様子を再現した絵も置いてありました。部屋の中央にある殉死当時の畳表は光の加減で現場ではよく見えなかったのですが、写真を拡大して見てみると薄く血痕が残っているのが分かります。写真左下にあるように、誰かが供えた花束が印象的でした。

 次に向かったのが応接室。殉死の朝、乃木が新聞を読んでいた場所です。




 その当時のテーブルと椅子が置いてありました。書籍でよく見る写真の現場がそのまま残されていたというのが意外でした。

 この応接室の奥の方には、水師営の会見でテーブル代わりに使われた手術台が展示されています。前述したように、旅順に現存するものと並べて使われていたものです。


 手術台の周囲に置いてあるのは、勝典、保典兄弟の遺品です。尋常小学校の卒業証書の他、二人が戦死した際に着ていた軍服も展示されていました。

 ちなみに兄弟の部屋は二階にあるのですが、今回は立ち入り禁止になっていたため見学することはできませんでした。

 この他にも馬具や机、盆栽など、乃木愛用の品々が多数展示されています。

 



 乃木邸は、いかにも乃木らしい落ち着いた雰囲気の邸宅でした。この日は天気も良く、殉死の部屋も重苦しいような雰囲気は感じませんでしたが、「明治」という時代の終焉を象徴する場所に立つと、うまく言葉では言えないのですが・・・・、そこだけ時間が止まっていて、明治でも大正でもない、その境目の隙間に居るような不思議な感じがしました。

 この乃木邸公開は毎年一回行われているので、興味のある方は乃木神社のホームページで日程を確認のうえ見学してみて下さい。

交通案内


東京メトロ千代田線「乃木坂駅」1番出口を出てすぐ。