「戦争論」


 

1,「戦争論」とは

 「戦争論」はプロシアの軍人クラウゼヴィッツの著作で、西洋最高の兵学書と言われている。ナポレオンの登場によって本質的な変貌を遂げた近代戦を分析し、戦争の本性と原型を見極め、後世の戦争哲学に大きな影響を与えた。

 

 

2,読みにくい「戦争論」

 「戦争論」は著者のクラウゼヴィッツが執筆中に亡くなったので、推敲が不十分なまま彼の妻によって出版された。そのため難解な部分や重複箇所が多く非常に読みにくい。彼はこうなることを予期していたのか、次のようなメモを残している。

 私が早死にしてこの仕事が途絶え、現在の形のままで残されたら、それはまだ形を成していない思考の塊にすぎないから、不当な誤解を招かざるを得ないだろう。・・・・要するに、完全と見なされるのは第一篇第一章だけである

 この不安が的中し、難解で後世の軍人に誤解を与えてしまったことに関する批判も多かったが、最近は各国でその内容が高く評価されている。

 

 

3,「戦争論」の邦訳

 最初の邦訳は森鴎外の「大戦学理」。鴎外がベルリン滞在中に記した「独逸日記」には、当時留学生だった田村怡与造のために「戦争論」の講義を行ったと書かれている。現在出版されている主な訳本としては、岩波文庫の「戦争論(上・中・下)」と日本クラウゼヴィッツ学会の「戦争論(レクラム版)」がある。

 

 

4,「戦争論」の愛読者

 モルトケ、ヒンデンブルク、エンゲルス、レーニン、森鴎外、田村怡与造

 

 

 

〜 要約 〜

序 文  /  戦争とは何か  /  名言集

 

 

注:ここに掲載している要約は、管理人が個人的に読み進めていく過程で自分なりにまとめてみたものです。軍事分野の専門家ではないので解釈のミスなどがあるかもしれませんが、あまり気にしないでください。基本的に他の「戦争論」関連書籍のような原文から数行引用して数ページの解説・戦例を付けるという編集は避け、できるだけ原文の雰囲気を残すようにして簡単な解説だけ付けています。
 
「戦争論」関連書籍の多くが「無理をして全文を読むより、第一篇(戦争の本性について)と第八篇(戦争計画)だけを読んだ方がいい」と勧めていますが、クラウゼヴィッツが完全と言っている第一篇第一章すら、素人にとっては何度読んでも分からないものです。とりあえず、「序文」と「第一篇第一章(戦争とは何か)」の中から不要(と勝手に思いこんでいる)部分や理解不能な部分を削除しながら要約していったので、原文の2割程度しか残っていません^^;。また、日常生活やビジネスなどで役に立つ(と思われる)教訓を含む部分をいくつか抜粋し、「名言集」としてまとめておきました。

 

 

 参考文献

「戦争論(上・中・下)」<篠田英雄、岩波文庫>

「『戦争論』の読み方」<郷田豊  他、芙蓉書房出版>

 ここの要約を読んで興味を持った方は、ぜひ原著を読んでみてください。個人的には、書店のビジネスコーナーにある「よく分かる〇〇」といった本はあまりお薦めできません。